国々のワイン

フランス
ボルドー地方
ボルドーは世界を代表する産地で、赤・白・ロゼ・スパークリングなど、甘口から辛口まで、多種多様なラインナップを持ちます。製造の特徴は異なるぶどうの品種を複数ブレンドすることです。
ぶどう畑のある土地の環境や造り手のこだわりでブレンドされ、ハーモニーが豊かで個性的な味わいが生み出されます。自社でぶどう畑を所有し、ぶどう栽培から醸造、瓶詰までを一貫して行うシャトーも多いです。ボルドー地方産は格付けがあることでも有名で、特にメドック地区の五大シャトーが知られています。 近年、デイリー価格でピュアな味わいで若いヴィンテージから馴染みやすい銘柄や生産者も多くなりました。 また、気概のある若手生産者の登場も要注目の近隣地区、ベルジュラック等も見逃せません。
ブルゴーニュ地方
ブルゴーニュ地方はフランスの北東部に位置(するボルドー地方と並ぶ、世界中のワインの規範とも言える産地)単一の品種で醸造するのが大きな違いです。
もっとも、同じ品種のぶどうでも、栽培される区画によって味わいが異なるので、個性が異なるワインが生み出されます。
ブルゴーニュ地方の中でも北部はロマネ・コンティをはじめとする赤ワイン、南部では知名度の高い白ワインの生産が盛んです。
ボージョレ―地区以外の赤は主にピノ・ノワール、白はシャルドネなど単一のブドウから造られることが多いです。
著名な生産者や人気銘柄は価格も高値安定でそれこそ高嶺の花……になってしまいましたが、ドメーヌの世代交代や新世代ミクロネゴシアンによる、ピュアで生命力に溢れる美味しさのワインも登場しています。

イタリア
イタリアは地中海に面した温暖な国のイメージがありますが、南北に長い地形で北側にはアルプス山脈があるなど、アルプス気候、大陸性気候、地中海性気候と1つの国の中でもさまざまな環境があります。アルプス山脈の南側から地中海に張り出しており、日照に恵まれ、ブドウ栽培に適した地域であることから、古くより醸造が行われてきました。
山岳地帯や丘陵地帯が多く、標高や傾斜なども異なっています。そのため、地域ごとに栽培されているブドウの品種や栽培方法も異なり、イタリアの20州すべてで個性豊かな味わいが生み出されています。一時期は、いわゆる国際品種によるワインがイタリアでも席巻していましたが、地元の伝統的な品種を用いて歴史を尊重しながら現代的な解釈で生産する世代も現れてきています。

スペイン
太陽に恵まれたスペインでも、国のほぼすべての地域でブドウが栽培されています。 北部のリオハでは、テンプラニーニョなどスペイン固有の品種の栽培が盛んで、他国のワインにはない、個性的な味わいが楽しめます。
カタルーニャ地方で造られる瓶内二次発酵を用いたスパークリングタイプのカバや酒精強化したシェリー、ワインにフルーツや蜂蜜などを加えた女性にも好まれるサングリアなど、多彩な種類が生み出されているのも特徴的です。
ここ数年、それまで日本で知られていなかった、優れた愛すべき生産者も多く輸入され、この地でも新たな風を感じます。

オーストリア
オーストリアは、ニーダーエスターライヒとブルゲンラントの二大ブドウ栽培地域が有名です。 厳しい法律のもとで認定を受けた40種類のブドウがランク分けされており、カビネットからトロッケンベーレンアウスレーゼまで、収穫時の糖度を基準に6段階に分類されます。
白はグリューナー・ヴェルトリーナー、赤はツヴァイゲルトなど固有品種が特に有名です。 オーストリアはオーガニックの聖地でもあり、近年は、ナチュラルワインが流行しており、オレンジワインや二酸化硫黄が添加されない無添加ワインに定評があります。
オーストリアは生産量は多くはありませんが、私たちの家庭料理との親和性も高くリピートも高いです。

ドイツ
厳しい寒さで知られるドイツは、ブドウ栽培では北限にあたります。 温暖な地域にはない味わいが生み出され、世界一美しいと評される酸味と口当たりの良さが魅力です。 冷涼な気候の中ではブドウの実がゆっくりと熟していきます。この過程で洗練された酸味が育まれるのです。
ドイツの代表品種リースリングをはじめとするブドウなど、白ワインのラインアップが豊富で、辛口から 極甘口までバリエーション豊かです。 戦後の一時期は世界に販路を広げようと、飲み心地が良い甘口が積極的に生産されていましたが、1980年代以降は原点回帰では辛口が増加し、シュペートブルグンダーといった赤の辛口が人気を集めています。 以前は生真面目ながらも読みにくく味わいも想像しにくいラベルが多くありましたが、近年はポップで初心者にも優しいデザインも増えて、より身近になったように感じます。

ジョージア
ジョージアは8000年も前からブドウが栽培されていたとされ、実は世界最古のワイン生産地です。 特有の気候や土壌で育まれる自然派のジョージアワインの世界的な普及を目指して、国をあげて取り組んでおり、世界から脚光を浴びています。 中でも、クヴェヴリといったほかの生産地にはない伝統的な醸造法が、2013年にユネスコ無形文化遺産登録され、注目を集めました。
粘土でできた素焼きの卵型の壺クヴェヴリは低温に保たれるため、発酵と熟成がゆっくりと進行するのが特徴です。 2010年代あたりから特に注目度も高くなり、ジョージア全土から小さな生産者による、好奇心をくすぐる素晴らしいワインが多く輸入されてきて日常的な選択肢のひとつになってきました。
